ガラスコーティング施工車に発生する雨染み。5つの原因と除去方法をプロが解説。
2024/04/22
ガラスコーティングを施工してもらってたった数週間でボディーの表面にウロコ状のシミのようなものが目立ち始めた経験はありませんか?
実はガラスコーティングの質が低いとコーティングを施工していない時よりもこのウロコ状の雨染みがつきやすくなることがあるんです。
この記事ではそのような事態を避けるため、ガラスコーティングと雨染みの関係や、除去方法、予防方法を解説していこうと思います。
ガラスコーティング施工車のボディにつく雨染みとは?
雨染みと聞いても今一つピンと来ない方も多いかと思います。
ボディー表面に発生する白っぽい残留物などを総称して「雨染み」と呼ばれます。
この『雨染みは』を発見するとついゴシゴシと擦ってしまいがちですがこれはもっともやってはいけないことの一つです。
残念ながら『雨染み』は軽度のものでさえ水洗いやカーシャンプーではほとんど落とすことができません。
では放っておけば良いかというと実はそれもNGなのです。軽度の雨染みを放置するとそれがきっかけになり小さな雨染みは少しづつ成長を続け、やがて立派な雨染みへと育ち、一定の大きさになると塗装を攻撃し始め、凹凸状のクレーターを作ってしまいます。
『雨染み』の類義語としては『イオンデポジット』や『ウォータースポット』『水垢』『水ジミ』などがあり、状態や症状に若干の違いがあるものの、近い関係の症状と考えて良いでしょう。
それでは、雨染み(イオンデポジット)(ウォータースポット)について、さらに詳しく説明しましょう。
ガラスコーティングにイオンデポジットが起こる仕組み
イオンデポジットはその名の通りイオン(金属成分が溶解した状態)が水分の蒸発により結晶化して塗装の上にデポジット(堆積)した状態を言います。
イオンデポジットは主に2つの要因によって起こります。
1つ目は洗車の後の水分の拭き取り不足により、水道水中のカルシウムや
これらは雨水に含まれる無機物、有機物がコーティングの上に滞在し、乾燥したり熱が加わることで凝固したり、水道水に含まれるカルシウムが凝固することで起こるもの。
2つ目は、ガラスコーティングの上に有機物(花粉やPM2.5等)が雨水で濡れた後に乾燥することで輪っか状に堆積して起こるものです。
もうひとつ、少しマイナーではありますが、井戸水にも注意が必要です。特に鉄分を多く含む場合は茶色っぽいシミができたり、ガラスがミネラル分の付着によってウロコだらけになる為、自分で落とすことはかなり難しくなります。
ガラスコーティングにウォータースポットが起こる仕組み
イオンデポジットはミネラル分が堆積しているだけの状態に対して、ウォータースポットはイオンデポジットの放置によって起こります。
具体的には、ミネラル分の堆積が一定のレベルに達するとガラスコーティングの皮膜を攻撃し、破壊し始めます。更に進行すると塗装面そのものを攻撃し、徐々にウォータースポットが深くまで浸透し、塗装面の劣化による艶の減退が起こります。
このような状態になると(クレーター)という呼び名に変わり、その名の通り月面のクレーターの様に凹凸が肉眼でもはっきりと確認できる状態になります。
ここまで進行すると専門業者の中でも研磨技術の高いショップでないと除去することができず、技術の伴わないショップに依頼すると闇雲に磨き込み、クリアー層を消費されて塗装の強度を弱らせてしまうので注意が必要です。
雨染みができる原因5つ、その対策は?
ここで、改めて雨染みができる原因5つ、そして対策方法をまとめましょう。
①洗車後の拭き取りがしっかりされていない
洗車時、水分が残っていると、それが乾燥し、ミネラル分がガラスコーティングの上に残ります。これは直接イオンデポジットやウォータースポットに変化するのでしっかりと水分をふきとりましょう。
②洗車をこまめにしていない
洗車頻度も雨染みを予防する上でとても大切な要素です。特に花粉や黄砂、P2.5の降り注ぐ3月から5月頃まではたった1回それらを放置しただけで重大なクレーターを発生させてしまうことがあるほど攻撃力が高いので警戒する必要があります。
洗車頻度を上げることで水染みの原因となる汚れを取り除くことができ、塗装面を常にクリーンな状態にしておくことで水染みの再発生を遅らせることができます。
③洗車する日、時間帯が間違っている
晴れた日に洗車をするのは気持ち良いものです。しかし、炎天下、日差しの強い時間帯に洗車をすれば、塗装面の温度が上がり水滴はすぐに乾燥してしまいます。車を触って熱いと感じた場合は雨染み(水染み)が発生しやすくなっているので日が陰るまで待つか、穏やかな曇りの日に洗車を行う様にしましょう。
④ガラスコーティング後のメンテナンスを行なっていない
ガラスコーティングを施工したからといって雨染みが付かなくなることは無く、通常の条件下で使用している限りカルシウム分の蓄積は起こります。
カルシウムなどのミネラル分が付着した状態ではガラスコーティングの性能は封印されてしまい、本来の効果である汚れのつきにくさや落としやすさ、艶感を発揮することができない状態になります。
これを本来の状態に戻してあげる作業がいわゆる『コーティングメンテナンス』の主な役割になります。
コーティングメンテナンスを行うべきサイクルは車の使用状況や保管状況、セルフケアの状況により異なりますが、最低でも1年以内に行うことで大きなダメージになる前に改善を行える可能性が高まります。
⑤ガラスコーティングは親水?撥水?疎水?
ガラスコーティングには、水滴が塗装面に馴染むタイプの親水コーティング、水滴がコロコロ弾くタイプの撥水コーティング、そのおおよそ中間に位置する疎水などがあります。
それぞれに特徴やメリットが異なるのでどれが1番というのはナンセンスな議論だと思いますが、私自身はやや撥水よりの疎水が最もバランスの取れた性質だと考えています。
汚れのつきにくさや目立ちにくさが高く、汚れを巻き込みながら流す機能やコーティングのコンディションの確認のしやすさ、車体の部位ごとに水弾きが極端に違うという症状の起こりにくさやに優れます。
雨染みの起こりにくさ単体で考えると親水性のコーティングが優秀ではありますがその他の性能とのバランスであなたにぴったりなコーティングを選ぶのが良いと思います。
雨染みを防ぐ方法
雨染みは一度ついてしまうと本当に落とすのが大変です。日常生活で車を使っていれば汚れがつくことを避けるのは不可能なので、できる限り愛車の塗装面のコンディションに目を配り、汚れをそのままにしない、手遅れになる前に予防することがとても大切です。
そして、やはり洗車時のしっかりとした拭き取りはいつも意識しましょう。
雨染みができてしまったら?
注意して管理していたとしても雨染みができてしまうということはあるでしょう。そんな時でも軽度なら自分で落とすことができます。
イオンデポジットの場合
雨染み除去ケミカル、イオンデポジット除去剤などを使用し取り除きます。これらはとても優秀で、塗装面に付着しているだけのイオンデポジットは完全に取り除くことができます。
イオンデポジット除去剤であれば本液をマイクロファイバークロスにとり表面に塗り込んだ後、水拭きで拭き取り作業します。
ウォータースポットの場合
イオンデポジットからウォータースポットにまで進行すると、除去剤を使っても改善しません。これは、イオンデポジットを取り除いた状態で確認できる塗装面の凹凸なので取り除くという概念ではなくなります。
この場合、コンパウンド(研磨剤)を使い、削り落とす作業が必要になります。費用をかけたくないので、どうしても自分でなんとかしたいという気持ちになるかと思いますが、極軽度の場合を除き、機材と技術がない状態で行うと改善しません。
更にしつこく削ると、塗装がなくなってしまい再塗装する羽目になるという大きなリスクを回避する為にも、費用はかかりますが安心を買うつもりで専門業者に依頼することをお勧めします。
ガラスコーティング直後は雨に濡れないよう注意
ガラスコーティングは空気に触れた瞬間から硬化が始まります。コーティングの表面が硬化するまでに約12時間、ボディに完全に定着するまでに数日~数週間かかります。専門店なら遠赤外線ヒーターの使用や、安定した空調設備での硬化時間を設けるなどの処置が可能ですが、自分でガラスコーティングを施工する場合は気温や環境が不安定になりがちです。
止むを得ず屋外で施工する場合は春や秋の曇りの日で風がない日を週間天気予報で予測して施工する様にしましょう。
特に最初の12時間程度は水に濡れないよう注意が必要です。
ガラスコーティング車の雨染みを避けて美しいボディをキープ
ガラスコーティング施工車の雨染みに関する大きなポイントをまとめましょう。
- イオンデポジットは雨水に含まれるミネラルなどの不純物が残った状態
- ウォータースポットはイオンデポジットがさらにクレーター状になったもの
- 雨染みのできる原因は、①洗車後の拭き取り②洗車の頻度③洗車をする日の選び方④ガラスコーティング後のメンテナンス⑤撥水コーティングのリスク
- こまめな洗車と完璧な拭き取りで雨染みを予防
- イオンデポジット雨染みなら専用剤、ウォータースポットはプロによるコンパウンド使用で除去
あなたの愛車のコンデション維持のお役に立てて頂くことができていたら専門家としてとても嬉しいです是非他の記事も参考にしていただけたらと思います。
『著者情報』
GLOSSY代表:森 新太
・カーコーティング専門店『GLOSSY』代表
・本質のカーケアケミカルブランド『SPECIALE』運営。
『日本一過酷とも言われる雪国、新潟県でカーコーティングの実験を重ね、
成功法則と独自の理論を確立。全国のカーオーナーに向け価値ある情報を発信中!』
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