ガラスコーティングを施工したものの、その後の正しいケア方法を知っている方は案外少ないように思います。
当店のお客様の中にも、『水洗いだけでオッケーなんでしょ?』『洗車機で洗っても傷つかないんでしょ?』と、間違った認識を保たれている方も少なくありません。
「愛車をメンテナンスフリーにするためにガラスコーティングをしました」
実はこれも半分正解、半分間違った捉え方と言えそうです。
それでは早速ガラスコーティングの正しい扱い方、メンテナンスの本質を掘り下げていきましょう。
ガラスコーティングしたのになぜメンテナンスが必要?
費用を支払ってガラスコーティングを施工したのだから「メンテナンスなんてしなくても大丈夫なんでしょ?」
そう考えるお客様も中にはいらっしゃいます。
確かにガラスコーティングを施工していない車両と比べたときに、ノーメンテナンスだったとしてもガラスコーティングを施工した車の方がコンディションが良いことは多いです。
しかし、視点を変えると、せっかく費用を支払ってコーティングをしたのだから最高のコンディションを保って頂いて最高の艶と手触り、汚れ落ちの良さや塗装の保護機能を味わっていただく方がそのコーティングからより多くのメリットを受け取る事ができるのではないでしょうか。
住宅の外壁に例えるなら、数年で劣化し始める外壁の価格は安価です。
10年くらい経過するとメンテナンスというより、塗装か張り替えの決断を迫られます。
張替えは費用が高いので塗装を選ぶとします。
塗装でもかなりの費用がかかりますが数年でまた劣化するという様に、短いサイクルでかなりの費用がかかってしまうことになります。
対して塗り壁やタイル、コンクリートなどの外壁は初期費用は高いものの寿命が長く、ノーメンテではありませんが劣化が緩やかなため、簡単なメンテナンスを行うだけで一定の美しさを長期間保つ事ができます。
コーティングメンテナンスをする理由はもう明らかですね?
そう、「コーティングのガラス皮膜を良好に保つため」に行なうわけです。
せっかく施工したコーティングを健康に保つことで艶や耐久性を最大限に発揮し続ける事ができ、愛車の魅力を長期間保つ事ができるわけです。
日々、車を使っていれば常に外気にさらされ様々な汚れが付着します。
ガラスコーティングを施工することでそれらの汚れは直接ボディーに触れることから避けられますが、コーティングに付着した汚れは徐々にコーティンングの上に積み重なり、コーティング皮膜を攻撃します。
メンテナンスの最大の目的はコーティンングの上に固着した汚れ(特にカルシウムや鉄分など)除去することに意味があります。
あまり知られていませんがこの様なミネラル系の汚れはカーシャンプーを使用して洗ったとしても取り除く事ができず、自分でこれらを取り除くには専用の洗剤と少しの知識が必要になります。
自分でできるメンテナンスの基本は洗車
一概にメンテナンスといっても内容は様々。
ご自身で洗車を行なうことは最もベーシックなメンテナンスであり、最も大切なメンテナンスの一つです。
普段はボディー全体だけををザックリと洗うだけで終えてしまっている方の場合、エンブレムの文字の細かい部分に汚れが溜まって固まっていたり、ドアノブ周辺が黒ずんでいたり、窓の水切りゴムの辺りに砂が積もっていたり、目地という目地が全て黒ずんでいたり、ドアのヒンジに砂埃が溜まっていたり、トランクを開けると葉っぱやアメンボが溝に詰まっていたりします。
これらを取り除くにはなかなかの根気と時間、そして洗剤の知識が必要になります。
逆に、普段の洗車で細かなところまで手が行き届いているお車は、まとまった時間をかけてメンテナンスを行う必要が無いので、1年に数回鉄粉の除去やコーティング表面に蓄積したカルシウム分(水道水で洗車すると少しづつ付着します)を除去する程度で済んでしまいます。
お部屋の整理整頓やお掃除と同じで放っておくと後々面倒になって放置しがちになるので気がついた時にこまめに行うか、面倒ならプロにお任せするのも選択の一つになります。
正しい洗車の方法や頻度は?
ここからはガラスコーティングを施工した後の洗車方法や頻度について解説していきます。あなたにとって正解になる洗車方法と洗車頻度を導き出して頂くヒントを探してみてくださいね。
1. ガラスコーティング施工車の洗車方法
まず、ガラスコーティングを施工したらそこから1週間程度は洗車を控える方が無難です。
ガラスコーティングの皮膜はボディーの上で空気中の水分を使って酸素と結びつき、徐々に固まっていくため、完全に密着、安定するまでに一定の時間が必要です。
この間は皮膜がデリケートで傷に対しての耐性が本来の性能まで到達しておらず、ラフな洗車を行ってしまうと傷が入りやすい状態ですので少し埃をかぶった程度なら洗車を行わないほうがベターです。
但し例外もあります。花粉や黄砂の飛ぶ時期や鳥の糞や虫の死骸がついたときはそのままにするほうがダメージを受けるリスクが高いため、丁寧に洗い流してあげる方が塗膜にトラブルを起こす可能性を下げる事ができます。
この期間を経て完全に硬化すると、ガラス皮膜が完全に塗装面に密着安定したということになり、そのコーティングが持つ本来の性能を発揮してくれるでしょう。
では、具体的にコーティングを施工したお車の洗車で気を付けるべき点をいくつかお伝えしたいと思います。
- 水分が蒸発して水垢(イオンデポジット)の発生を避けるため、朝夕の涼しい時間帯を選ぶ。
- カーシャンプーは中性または弱酸性でコンパウンド無しのものを選ぶ。
- カーシャンプーを使う前にまず流水で砂埃をよく洗い流す。
- 洗車は高いところから順に下に移っていく。(ホイールは先でも良い)
- マイクロファイバークロスでしっかりと水分を拭き取る。
▶︎ 基本の洗車方法
2. ガラスコーティング施工車の洗車頻度
次に洗車頻度ですが、ガラスコーティングを施工すると汚れにくくなるので洗車頻度は自ずと長くなる傾向にあります。もちろんその効果を期待してコーティングを施工される方も多いでしょう。
ただ、ここで洗車頻度をコーティング前と同じくらいに設定しておくことでコーティングをもっと長持ちさせる事ができたり、うっとりするような艶を常に楽しむ事もできます。
洗車頻度が変わらないなら楽できないと思うかもしれませんが、ガラスコーティングを施工したお車をそれほど汚れていない状態で洗車に取り掛かると汚れの落ちやすさに驚くでしょう。
コーティングの性能によっても感じ方は変わりますが、私の実感値としては半分の洗車時間、半分の労力でコーティング前よりも美しい状態に戻ってくれる印象です。
コーティングメンテナンス、DIYとプロの違い
ここまで「コーティングメンテナンス」について触れてきましたが、 いよいよここからは本格的なメンテナンスの必要性や方法についてお伝えしていこうと思います。
ガラスコーティングの機能を保つために行うメンテナンスですが、こんな症状が出たらコーティングメンテナンスを行うタイミングかもしれません。
例えば、洗車時に『汚れが落ちにくくなってきた』『カーシャンプーで取れないシミができてきた』『撥水・親水効果が衰えたと感じる』『艶が衰えボディーが曇ってきた』こんなときにはコーティングメンテナンスが必要なタイミングかもしれません。
「なんだか違う」と感じたまま放置すると、塗装面にダメージを与える可能性もあるので違和感を感じたら早めにメンテナンスを行うと良いでしょう。
コーティングメンテナンスは自分ですることもできますし、ショップに頼むこともできます。
1. 自分でするコーティングメンテナンス
まずは洗車から始めます。DIYコーティングメンテナンスのためのメンテナンスクリーナーを用意し、専用スポンジを使って濡れた塗装面に塗り込んでいきます。小さな範囲に塗り込む作業を繰り返します。
最後に、たっぷりの水を使い、マイクロファイバークロスで余分なものを取り除いていきます。
メンテナンスクリーナーは3,000円前後で購入することができ、何度も使うことができます。
基本的に自分でコーティングメンテナンスするとしても、プロによるメンテナンスも取り入れることをお勧めします。
例えば、メンテナンスクリーナー1本で10回使える場合、月一でDIYメンテナンスを10ケ月行ない、次の1本を使い始める前にプロに依頼するというパターンも良いでしょう。
2. ショップに頼むコーティングメンテナンス
プロの行なうコーティングメンテナンスは、ガラスコーティングを依頼したショップでメンテナンスをお願いできます。
汚れを除去した後に表面を削りコーティング皮膜を補充する方法、またはコーティングが劣化した部分をクリーニングして皮膜を修復させることで削る作業を省く方法とあります。
一般的なコーティングメンテナンスをショップに依頼するときの価格も紹介しましょう。
どこで施工するかによって金額が違いますが、相場目安としてはガソリンスタンドでは5,000円~、カー用品チェーンなら10,000円~、コーティング専門店で15,000円~といったところです。
車のサイズによって価格が異なりますし、さらに高い費用がかかるショップもあります。
ガラスコーティングのメンテナンスまとめ
ガラスコーティングのメンテには洗車とコーティングメンテナンスの2通りがあります。
洗車はできれば週に一度、ダメージのリスクがある汚れは適時落とすようにします。
その上で月一度程度で自分でコーティングメンテナンスをするか、ショップに依頼することでガラスコーティングの劣化を最大限に防ぎます。
車のボディを保護するために様々な汚れや熱を一気に請け負うコーティング皮膜をメンテし最高のコンディションを保つ、これらのメンテをしてこそガラスコーティングをする価値があると言えるのです。